【感覚障害に対する目視の代償行為】
おじさんには感覚障害がある。
感覚障害とは
- しびれがある(痛みを伴う場合もある)
- 温度、痛みに鈍くなる
-
触った感覚が鈍くなる
右側の方に後遺症が強く残り、倒れた直後は触られてもわからないような状態だった。
徐々に感覚を取り戻し、今は右手右足の小指や薬指が少しわかりづらいのみ。
回復期病院にいた頃、気づいたら小指の爪が剥がれていた、なんてこともよくあり、一応今も小指には絆創膏を貼っている。
脳出血で重要なのは、リハビリをいかに早く始めるか。脳の機能回復、「代償」(新たな代わりとなる機能が働きだす)を得るためだ。
徐々に寝たきりから、ベッドでの端坐位練習(足を床に降ろして座る)、次に車イスへの乗車と段階的にリハビリを行う。
その時の困ったこと。
しきりに、見えんから怖い、と言ってなかなか立ち上がることが出来なかった。
怖いからへっぴり腰になり真っ直ぐ立ち上がれず、徐々に腰も伸びていった感じ。
最初から一人で立ち上がることは出来ないので画像のように両手で腰のあたりのズボンを握り、立つ感覚を体に染み込ませた。
車イスに乗れるようになり、乗ったままご飯を食べる時も足が机に隠れて見えなくなってしまうと怖いらしい。
障害のない人は足の位置など特別意識せずに立つことが出来るが、おじさんはこの、なんとなくわかる感覚(深部感覚)がやられてしまっているので、感覚で行っていたことが出来なくなり、変わりに目視によって安心感を得てしまい、見ないといろいろな行動がとれなくなってしまった。
これを、
『感覚障害に対する目視の代償行為』
といい、解決するには見えないことに対して慣らしていくしかないらしい。
近くにいる人が出来ることは、
本人が怖い、不安だと訴えた時に、見えない部分を触ってあげるとよい
そう教えてもらった。
実際おじさんも怖い怖い言ってた時は触れてあげて徐々に慣れていった。
今はすっかり平気になり、車イスに乗ったままうたた寝をしている。
あの頃のことを考えると、これでも今は平和だなと思えてくる。