発話練習の教材は『おかあさんといっしょ』
おじさんは、脳出血で倒れ運動障害性構音障害も残っている。
運動障害性構音障害になると、
運動のコントロールが失われるため、ことばの音がゆがんだり、話の速度が異常に遅くなったり、不自然な抑揚の話し方になる。
発症直後は、あー、うーぐらいしか発することが出来ず、おじさんが何を伝えたいのか全くわからなかった。
今は、ST(言語聴覚士)のリハビリと積極的な日常の会話を通し、初めて会うような人にも何を言っているか伝わるくらいに回復した。
体の機能の中で1番回復した障害だと思う。
この障害の回復には、リハビリはもちろん、日常でどれくらい会話をするかが重要らしい。
ほぼ毎日おじさんと一緒にいるのだが、会話は沢山していると思う。
テレビを見ながらの何気ない会話。
たまには時事的な真面目な話し、体の調子や病気の話し。
おじさんはやはりおじさんで、くだらない親父ギャグもちょくちょく言ってきて、ばかじゃないの、と私に呆れられたりもする。
『おかあさんといっしょ』『みんなのうた』を見て、歌をうたうこと。
もともと歌が好きで、カラオケも上手だった。
バンドも組んでいたらしく、音楽全般が好き。
お気に入りは、今はなき『ブンバ・ボーン』
歌うだけでなく、身振りもマネして運動していた。
上手に歌えるようになると、聞いて聞いて、と言ってきて歌ってみせる。
うまいやろ?と言われるが、正直あまり変わっていないときもあった。
でも本人が気分を良くしているのに、わざわざ凹ますような事を言っても仕方ない。
そうだね!上手になったね!
たまに、変わらん、と言っちゃうけど。
体操のお兄さんが変わり、うたも変わったが相変わらず毎日見て一緒に歌っている。
真面目な顔をして、『おかあさんといっしょ』を見ながら、身振り手振りをしているおじさんが愛おしいのだ。